「斯く斯く然々(かくかくしかじか)」って、学校では習わないし、普段の会話でもまず出てこない言葉ですよね。私も最初は「文章の中に急に出てくると、どういうニュアンスで使えばいいの?」と戸惑いました。でも一度意味を知ってしまうと、とても便利で、ちょっとユーモアを添えたいときにも使える言葉なんです。
この記事では、読み方・意味・語源・例文まで、できるだけ分かりやすくまとめました。家事の合間や子どもが寝た後のひと息タイムに、気軽に読んでみてください。
「斯く斯く然々」の読み方と意味
「斯く斯く」って何?基本の読み方と意味
「斯く斯く(かくかく)」は、現代の日常ではほとんど使わない表現ですが、日本語としてはとても古い歴史を持っています。
「斯く」は“こうだ”“このように”という指示語の一種で、古文では頻出するほど基本的な語でした。これが2つ重なることで、「あれこれと説明すれば長くなるけれど」という“ぼかし”のニュアンスが強まります。
私自身、家庭で夫に今日あったことを話すとき、「もう説明すると長くなるんだけどね…」という気持ちになる瞬間があります。それを昔の人は「斯く斯く」とまとめていたのだと思うと、少し可愛らしく感じます。
現代語では廃れつつある表現ですが、その響きには“言葉で全部説明しない美しさ”が残っています。
「然々」とは?漢字の成り立ちと意味を解説
「然々(しかじか)」の「然」という漢字は、「しかり(その通り)」を示す言葉が元になっています。その性質が転じて、「詳細はその通りにいろいろあって…」という“省略を正当化する表現”として使われるようになりました。
「しかじか」は今でも文章では比較的見かけますが、実際に声に出す機会はほとんどありません。それでも文章に書くと、説明が急に固くならず、どこか親しみやすい雰囲気を作ってくれる言葉です。
私も、ママ友とのLINEで言葉選びに迷っているとき、心の中で「しかじか」とつぶやきながら書き直すことがあります。不思議と文章がスッとまとまるんですよね。
「斯く斯く然々」の読み方:正しい発音とは?
「斯く斯く然々」は一連で「かくかくしかじか」と読みます。
「かく」は短めの“カクッ”という音、「しかじか」は“シカジカ”とわずかに語尾を跳ねるように読むと、文章のリズムがきれいに整います。
この表現が便利なのは、“説明の詳細から一度距離を置くことができる”という点です。
「かくかくしかじかで…」と一度まとめることで、その後の本題をスムーズに語り始めることができ、文章全体が読みやすくなります。
普段使わない言葉「斯く斯く然々」を知る意義
普段の生活ではまず耳にしない言葉ですが、だからこそ文章表現の幅を広げてくれます。
たとえば、
丁寧に事情を説明したいけど、すべて書くと長くなる
上品さを出したい
少しユーモアを添えて伝えたい
そんな場面で役立ちます。
私も、子どもの園からの急な連絡や家庭の用事が重なった日に先生へ説明文を書いたことがあります。「たくさん事情はあるけど、ここでは簡潔に伝えたい」というときに「斯く斯く然々ですが…」と入れると、ほどよく柔らかくまとまるんですよね。
「斯く斯く然々」の語源とその背景に迫る
語源をたどると、「斯く」も「然」も古典語に欠かせない重要語です。
「斯く」=“こう”“このように”
「然」=“そうである”“その通り”
この2つの語が重なることで、「こうこう、そしてああああ」と、説明をぼかしながらまとめ上げる表現が生まれたわけです。
とくに平安・鎌倉時代の文章文化では、細部をあえて書かない“余白の美”が重んじられていました。
「斯く斯く然々」には、そんな古典特有の“すべてを言わずに感じさせる”美意識が今も生きています。
説明を省くのに品のある表現として成立しているのは、日本語ならではの味わいでもあります。
「斯く斯く然々」の使い方と例文集
「斯く斯く」や「然々」を使った日常会話の例
日常会話で「斯く斯く」や「然々」を使う場面はあまりありませんが、あえて口にすると独特のユーモアが生まれます。
とくに、子どもがいる家庭では「全部説明するのは大変だけど、察してほしい…!」という瞬間が多いので、まるで“救済フレーズ”のように役立つ場面があります。
たとえば、こんな会話です。
「今日は斯く斯く然々で、お迎えの時間がずれちゃって…ごめんね」
「昨日は斯く斯く……まあ、ほんとに色々あったのよ」
ポイントは、細かい説明を省きつつも、相手への気遣いや柔らかさが伝わるところ。
家庭でも職場でも使えば、重くならずに事情を伝えられます。
とくに“話す気力が残っていない日”ほど、この表現が助けになります。
美大や映画での「斯く斯く然々」の使い方
美大や映画・映像の現場では、「説明しようとすると膨大になる」シーンがよくあります。
作品の背景や意図は奥行きが深く、語れば語るほど枝分かれするため、「斯く斯く然々で……」と切り替えることで、相手に“概要だけ伝えるよ”というサインを出すことができます。
また、この表現はどこか文学的・レトロな響きを持っているため、作品の世界観やキャラクター性を演出するために使われることもあります。作中の語り手が「斯く斯く然々で…」と言った瞬間に、その人物の知性や雰囲気を感じ取れるからです。
芸術系の学校では、講評や合評で学生が「説明すると長いんですが、斯く斯く然々でこうなりまして…」と言い、場を和ませることもしばしばあります。
堅い場の空気を、ふっと軽やかにしてくれる言葉でもあります。
「かくかくしかじか」との違いや使い分け
「斯く斯く然々」と「かくかくしかじか」は意味としては同一です。
ただし、文章にする場合と会話で使う場合で、印象が大きく変わります。
斯く斯く然々…文章的・格式ばった印象。ビジネス文書や正式な説明に向く。
かくかくしかじか…やわらかい。家庭の会話やSNSで使いやすい。
私は、子どもの記録をつける日記や、ブログの文章では「かくかくしかじか」を使うことが多いです。読み手が日常の読者であることを考えると、ひらがなのほうが温度が下がらずに伝わるからです。
一方で、何かをきちんと説明した文章の中に「斯く斯く然々ですが…」と入れると、話の流れにメリハリが生まれ、上品な印象が出ます。
使い分けを意識すると、日本語の微妙な“空気の色”を操ることができます。
さまざまな文脈での「斯く斯く然々」使用例
「斯く斯く然々」は、日常会話だけでなく、文章・創作・ビジネスと幅広い場面で活躍します。
行政文書・ビジネス文書
「詳細は別紙の通り、斯く斯く然々の理由により…」
→ 硬い文書の中で“簡潔なまとめ”として働く。小説の語り手の独白や回想
「斯く斯く然々で、その日は大騒ぎであった」
→ 情景を説明しすぎず、読者に想像の余白を残す。コミカルな演出をしたい会話シーン
キャラクターの“ゆるい知性”や“レトロ感”を出せる。学校のレポートや発表資料
話が脱線しそうな部分を「斯く斯く然々で」にまとめることで、流れを整えられる。
このように「斯く斯く然々」は、単に古い表現ではなく、文章の“空気の演出装置”として優秀です。
とくに、説明を省略しながらも丁寧さを保てるという点は、ほかの省略表現にはない魅力です。
「斯く斯く然々」の関連言葉とその広がり
漢字の読み方「かくかく」を巡る言葉の意味
「斯く(かく)」は、古語の中でもとても基本的な指示語で、「こう」「このように」を示す語です。
この“指し示す力”が強い語だからこそ、さまざまな言い回しが派生していきました。
斯くして(かくして)…「こうして」「この結果」
斯様に(かように)…「このように」「こういうふうに」
斯くなる上は(かくなるうえは)…「こうなった以上は」
これらの言葉は、古文や少し格式の高い文章でよく使われるものですが、共通しているのは「状況を説明しながら、話の流れを整える力」を持っていることです。
つまり「かく」という言葉は、日本語の文章表現の基礎の中で非常に重要な役割を果たしてきたわけです。
「斯く斯く然々」も、この“指し示す”性質が核になっています。
あれこれ細かく説明する代わりに、「まず流れとしてはこういう具合で…」と一気にまとめる力があるのが特徴です。
「赫々」との類似性と使い方の違い
同じ「かくかく」と読む「赫々(かくかく)」は、まったく別の意味を持つ熟語です。
赫々=功績が輝かしい・名誉が高い・目立って優れている
赫=赤く輝く様子を指す漢字
読みは同じでも、語源からして方向性がまったく異なります。
「斯く斯く然々」が説明の省略・流れの整理に使われるのに対し、「赫々」は評価や功績を語る語です。
(例)
「赫々たる戦績を残す」
「彼の業績は赫々としている」
このように、「赫々」は“明るく輝く”イメージを持つ語。
一方、「斯く斯く然々」は“詳細を伏せる・やわらかくまとめる”方向の語。
読みは同じでも、使われる文脈は対極にあります。
書くときも読むときも、音だけに引きずられないよう意識すると混乱を防げます。
関連する日本語:他の表現との比較
「斯く斯く然々」と同じく、“説明を省く”ために使われる言葉はたくさんあります。
それぞれニュアンスが微妙に異なるため、使い分けると文章の質がぐっと上がります。
これこれ…やや古風・説明を受けている側の理解を促す
なんやかんや…日常的で砕けた表現。会話向き
あれこれ…カジュアルで、状況が雑多なときに使う
云々(うんぬん)…文章的・議事録や書類でよく登場
これらの表現の中で、「斯く斯く然々」は最も“上品で奥ゆかしい”位置にあります。
具体的には、ただ省略するだけでなく、
「すべて話すと長くなりますが、必要な点だけ取り出しますね」
という、丁寧さを含んだ省略ができるのが特徴です。
場面に応じて表現を選べるようになると、日本語の文体調整が本当に楽しくなります。
文章にも会話にも、“ちょうどよい距離感”が生まれます。
「斯く斯く然々」を使った作品紹介
漫画や映画での使用例:日高や東村アキコの作品
漫画や映画の世界では、「斯く斯く然々」あるいは「かくかくしかじか」が、キャラクターの語りやテンポづくりに使われることがあります。
特に東村アキコさんの作品では、主人公が“日常の説明を軽やかに飛ばす”ための語り口として登場し、物語全体に軽快なリズムが生まれます。
読者にとっては、「ああ、ここは深掘りしなくてもいい部分なんだな」と自然に理解できるため、読み心地がよくなります。
映画でも、ナレーションが昔話調になったり、語り手が回想モードに入るシーンで、「かくかくしかじか…」というニュアンスを含む台詞が使われることがあります。
とくにレトロな世界観やユーモラスな本編を意識した作品で使われると、その作品独自の“語りの温度感”を作ってくれる表現です。
言葉を全部説明しないことで、逆に想像力を膨らませる余白を作る――それがこの表現の強みです。
「斯く斯く然々」をテーマにした作品リスト
作品タイトルに「斯く斯く然々」をそのまま使う例は多くありませんが、章タイトル・副題・エッセイの節見出しなどに取り入れられることがあります。
たとえば、
人生の転機を振り返る随筆
作者が出来事をまとめたいときの章題
物語の前半を“ざっくり振り返る”ための導入
など、少し文学的・内省的な空気を出したい場面でよく使われます。
なぜ章タイトルとして好まれるのか?
それは、この言葉が「全部を語らずに中身を示す」という、日本語特有の美意識に沿っているからです。
読者は「ここにはいろいろあったんだろうな」と想像しながら読み進めることができ、物語の温度を高める効果があります。
美大における「斯く斯く然々」の倒錯的役割
美術大学では、制作意図を語るプレゼンテーションが頻繁に行われます。
その中で、学生が「制作過程は斯く斯く然々で…」と使うと、独特の空気が流れます。
本来、プレゼンは“説明する場”なのに、「説明を省略します」という言葉を使う――これがある種の倒錯としておもしろい役割を果たします。
具体的には、
説明すればするほど作品の魅力が薄れるタイプの作品に使う
あえて説明しないことで、観る側の読み解く余白を尊重する
「そこは語らない」ことで、作者の世界観のこだわりを示す
という使われ方があります。
また、合評会で学生同士のやりとりが盛り上がってくると、「まあ、斯く斯く然々で…」と笑いが起きることもあります。
専門的な話が長くなりがちな美大の文化だからこそ、この表現が“空気を和らげる装置”のように働くのです。
説明しないことが、逆に説明になる――表現の世界ならではの魅力です。
まとめ|「斯く斯く然々」を今日から“気軽に”使ってみよう
「斯く斯く然々」の理解がもたらすもの
「斯く斯く然々」を知るだけで、文章の組み立て方がぐっと楽になります。
とくに“説明したいことは多いけれど、全部を書くと長すぎる”という場面では、この言葉が小さな助け舟のように働きます。
文章に軽やかさが出る
丁寧に省略できる
読み手に「ここはざっくりでいい部分」と伝わる
この3つが揃う言葉は実はあまり多くありません。
だからこそ、「斯く斯く然々」は文章表現において密かな万能フレーズなんです。
SNSや家庭の連絡、ブログや日記でも、ちょっと気取らない柔らかい文章が作れるようになります。
今後の日本語学習における重要性
普段の生活では使わない言葉ほど、日本語の奥行きを感じさせてくれます。
「斯く斯く然々」はまさにその代表で、使い方を知っているだけで語彙の世界がふわっと広がる感じがする言葉です。
子どもに語彙を教えるとき
読書や文書作成で言葉を選ぶとき
日本語の“ニュアンスの豊かさ”に触れたいとき
どんな場面でも、この一言がちょっとしたスパイスになります。
とくに、子どもへ説明をするときに「昔の言葉でね」と前置きしながら話すと、語彙の面白さに興味を持ってくれるきっかけになることもあります。
知っているだけで文章も会話も丸く、柔らかくなる。
そんな魅力を持つ言葉はなかなかありません。
読み終えた今、家族との会話やSNSの文章のどこかに、少しだけ「かくかくしかじか」を忍ばせてみませんか?
言葉に余白が生まれ、気持ちの伝わり方がふんわり柔らかく変わっていくはずです。

